11月1日より
建設業の健康保険等の加入状況に関する確認・指導
date:2012/11/01
国土交通省を始めとする関係機関では、建設業における社会保険未加入問題に関する様々な対策を講じておりますが、その一環として、建設業法施行規則を改正(平成24年5月1日公布)しましたが、当該改正内容が11月1日より施行されます。
既に、本年7月より経営事項審査の評価を厳格化し、社会性等(労働福祉の状況)に係る評価項目の内、「健康保険及び厚生年金保険」を「健康保険」と「厚生年金保険」に区分し、各項目ごとの審査とした上で、雇用保険及び健康保険、厚生年金保険への未加入企業に対する減点幅を拡大し、3保険すべてに未加入の場合には、現行の△60点を改正後には△120点とする措置を実施しています。
(1)建設業の許可・更新の申請時に、新たに健康保険等の加入状況を記載した書面を提出
従業員数及び健康保険や厚生年金保険、雇用保険に関して、個別に加入状況を記載した書面(事業所整理番号・事業所番号・労働保険番号も記入)を提出する。国・都道府県の建設業担当部局では、申請者の保険加入状況を厳格に確認し、未加入であることが判明した企業に対しては、加入指導を実施する。
(2)特定建設業者が作成する施工体制台帳等の記載事項に、健康保険等の加入状況を追加
施工体制台帳に特定建設業者及び下請企業の保険加入状況を記載する。また、下請企業は、再下請企業の保険加入状況を特定建設業者に通知する。国・都道府県の建設業担当部局は、営業所への立入検査による保険加入状況の確認を行うとともに、工事現場への立入検査による施工体制台帳等の確認を行い、元請企業による下請企業への指導状況の確認を実施する。
建設業における社会保険未加入問題への対策については、行政や元請企業、下請企業等の関係者が一体となって、総合的対策を実施し、実施後5年を目途に、企業単位では許可業者の加入率100%、労働者単位では製造業相当の加入状況を目指すこととを標榜しています。
建設業法施行規則等改正に至った背景
建設業界においては、下請企業を中心として、雇用及び医療、年金保険に関して、法定福利費を適正に負担しない保険未加入企業が存在することから、技能労働者の公的保障が確保されず、若年入職者減少の一因となっており、関係法令を遵守して適正に法定福利費を負担する企業ほど競争上不利になるという状況が生じているとしています。
このため、関係者を挙げた社会保険未加入問題への対策の一環として、建設業の許可に際しての保険加入状況の確認や指導、経営事項審査における未加入企業への評価の厳格化を進めることにより、技能労働者の雇用環境の改善や不良不適格業者の排除に取り組み、建設産業の持続的な発展に必要な人材の確保と事業者間における公平で健全な競争環境の構築を図る必要があり、こうした状況から、中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会基本問題小委員会の中間とりまとめ(平成24年1月27日)等を踏まえ、所要の改正を行った経緯があります。以下、中間取りまとめ等の該当箇所を掲載。
○社会保険未加入問題への対策の概要
下請企業を中心に保険未加入企業が存在している状況を改善していくためには、元請企業に、下請企業の保険加入を指導する役割を担うことが求められる。このため、元請企業においては、下請企業の保険加入状況について、再下請通知書、作業員名簿等を活用して確認し、指導を行うことが必要である。
行政においては、建設業許可・更新時にすべての申請事業者の保険加入状況を確認し、未加入事業者に対する加入指導を行いつつ、立入検査では、重点的に取り組む対象を徐々に拡大しながら保険加入の徹底を図ることが必要である。また、元請企業においては、保険未加入の下請企業とは契約しないことや保険未加入の技能労働者の現場入場を認めないことを将来的に見据えつつ、下請企業の指導に取り組んでいくことが求められる。
○社会保険未加入企業への減点措置の厳格化
現行の経営事項審査制度においては、@雇用保険、A健康保険及び厚生年金保険の2項目について評価を行い、未加入企業についてはそれぞれ△30点の減点を行っている。しかしながら、現在においても経営事項審査受審企業の内、約1割が社会保険に未加入であることから、項目を2分割し、「健康保険」と「厚生年金保険」の各々を審査の対象とする。
また、減点幅の拡大については、現行の2倍(△120点)とし、3つの保険制度の中では、これまで労働者の失業時の生活の安定を重視してきた経緯から、「雇用保険」にウエイトが置かれていたが、各法律上の加入義務を怠った建設業者については、同等に評価することが適当と考えられる。
※これらの措置は、法人事業所及び常時5人以上の従業員を使用している個人事業所等の社会保険強制適用事業所が対象であり、協会けんぽの被保険者とならない個人事業主や一人親方等である建設連合国保加入の組合員の方々は対象とはなりません。従って、社会保険未加入対策として、改めて協会けんぽに入り直すことを求められているものではありません(国民健康保険組合は、同種の事業または業務に従事する者を組合員として、国民健康保険事業を運営することが認められた保険者であり、国民健康保険法上の公法人です)。