建設投資と社会資本の維持更新
date:2012/12/12
平成24年度の建設投資は、前年度比7.9%増の45兆3千百億円となり、その内、東日本大震災の復旧・復興等に係る建設投資は4兆2千5百億円で、政府投資が19兆6百億円(前年度比12.5%増)、民間投資が26兆2千5百億円(前年度比4.8%増)となる見通しです(国土交通省総合政策局)。
建設投資は、平成4年度の84兆円を頂点に減少傾向にあり、平成22年度には、ピーク時の半分程度にまで減少しており、国内総生産に占める建設投資の比率をみると、昭和50年頃は20%以上ありましたが、その後、減少傾向となり、平成24年度には9.4%となる見通しです。
地震や台風、集中豪雨等が頻発する厳しい自然条件下では、国民の生命や財産を守るためには、それに対応できる水準の建設投資を確保すべきであり、高度経済成長期以降、集中的に整備されてきた社会資本ストックは、今後老朽化が急速に進むことが指摘されています。
平成21年度国土交通白書では、2060年度までの50年間で、必要な更新費が190兆円になると推計しています。米国では、道路や橋梁、堤防等のインフラの老朽化が進み、各地で崩壊や決壊等の深刻な事態を引き起こしていますが、近年の経済の低迷により、これらの保守や整備に予算が回らないことが事故続発の原因として指摘されています。
高度成長期に整備されたストックは、建設後、既に30年余経過しており、建設後50年以上経過した社会資本の割合は、平成22年度と20年後とで比較すると、道路橋は約8%が約53%に急増し、河川管理施設の排水機場・水門等は約23%が約60%に急増します。
その結果、耐用年数を迎えたインフラ資産は、近い将来に多額の更新費用が必要となり、今後の公共工事予算が、平成22年度と同額で推移すると、2037年度には維持管理・更新費が投資総額を上回ると推計され、新たな建設は不可能で、必要な更新費190兆円の内、約16%に当たる約30兆円の更新ができないと試算されています。
老朽化した社会資本の整備は急務であり、人口減少と高齢化社会における新規事業については「選択と集中」の方向性の下、更新の効率化を進める一方で、都市部の環状道路や空港・港湾整備等の必要な公共投資に関しては、これからも着実に進めていかねばなりません。